クレーン荷重表は、荷重表が前提とする設置条件のもとで、ある作業半径、ブーム長さ、ブーム角度においてクレーンが吊り上げてよい最大の荷重を示すものです。機種名のトン数は、荷重表の最上段の数値にすぎません。当社の5トン伸縮ブーム式クレーン SQ5SA4 が 5,000 kg をフルに吊り上げられるのは、最短の 4.2 m ブームを 50° に起こし、作業半径が 2.2 m のときだけです。最大リーチの 11.8 m では、荷重表で認められる荷重は 600 kg です。
本ガイドでは、当社技術部が作成した BOB-LIFT トラック搭載クレーン現行3機種(5トン伸縮ブーム式クレーン、10トンナックルブーム式クレーン、20トン伸縮ブーム式クレーン)の実際の荷重表を使い、クレーン荷重表の見方を順を追って解説します。各例では、吊り上げられるかどうかを明確に判定しています。掲載した数値はすべて、プロダクトオペレーション部長の Achord Chan が BOB-LIFT の技術図面の原本と照合して確認しました。
この記事の要点
- 定格吊り上げ能力を最も大きく左右するのは作業半径です。以下の3機種の荷重表では、最大リーチでの吊り上げ能力は公称トン数の 7.5% から 12% にとどまります。
- 作業半径は、旋回中心からフックまでの水平距離を吊り上げ位置と吊り降ろし位置の両方で測り、大きい方を使います。
- 作業半径が荷重表の2つの値の間にある場合は、大きい方の作業半径に対応する吊り上げ能力を使います。2つの値を平均してはいけません。
- フックブロック、スリング、吊り具は、荷重表で差し引き済みと明記されていない限り、荷重に含めて計算します。
- 同じ作業半径なら、通常はブームが長い構成ほど吊れる荷重は小さくなります。届く範囲で最も短いブームを選びましょう。
クレーン荷重表からわかること
荷重表には、メーカーが認めるブーム構成ごとに、各作業半径での定格吊り上げ能力が記載されています。定格吊り上げ能力とは、その姿勢でクレーンが吊り上げてよい最大の荷重です。この値は2つの限界のうち低い方で決まります。ひとつはブームと構造体の強度、もうひとつはアウトリガーで支えたクレーンとトラックの安定性です。
どちらの限界も、荷が外側へ移るほど小さくなります。クレーンを転倒させようとする力は、荷重に旋回中心からの距離を掛けた値に応じて大きくなります。この積がクレーンの吊り上げモーメントで、トンメートル(t·m)で表します。SQ5SA4 の定格は 12.5 t·m(5,000 kg × 2.5 m)ですが、荷重表で 5,000 kg が認められるのは作業半径 2.2 m までです。SQ20SA5 の定格は 50 t·m(20,000 kg × 2.5 m)で、荷重表では 2.0 m で 20,000 kg となっています。考え方の詳細は、クレーンの吊り上げモーメントに関する記事で解説しています。

モーメントだけでは、安全な吊り上げ能力はわかりません。荷重表はブーム長さと角度ごとに算出されているため、単純な「モーメント ÷ 作業半径」の曲線にはなりません。SQ20SA5 の 50 t·m を 22 m で割ると約 2,270 kg になりますが、荷重表で 22 m に認められているのは 1,500 kg です。長く伸ばしたブームは、自重がより外側にかかるためです。モーメントから計算するのではなく、必ず荷重表を読んでください。おおまかな見積もり方法とその限界については、クレーンの吊り上げ能力の計算方法のガイドで紹介しています。
トラック搭載クレーン荷重表の構成
トラック搭載クレーンの荷重表の多くは、作業範囲図と吊り上げ能力の数値を組み合わせたものです。以下は当社の10トン ナックルブーム式トラック搭載クレーン SQ10ZA6の荷重表で、主な4つの要素に番号を付けています。

1. 作業半径
横軸はメートル単位の作業半径です。作業半径とは、クレーンの旋回中心(回転の中心)からフックの吊り下げ線までの水平距離です。ブーム長さではなく、トラックの側面からの距離でもありません。
2. 揚程
縦軸は、図面に示された地面基準からのフックの高さです。必要な作業半径で、フックが壁、トラックの荷台、屋根の縁を越えられるかを確認するときに使います。SQ10ZA6 は、ブームを最大角度の 84° 近くまで起こすと約 17 m に達します。
3. ブーム角度線
基部から扇状に広がる直線は、0°(水平)から最大角度までのブーム角度を示します。曲線は、各段のブームを伸ばした状態でブームを起こしたときに、フックが移動する軌跡です。曲線と角度線が交わる点で、その姿勢での作業半径と揚程を読み取れます。
4. 吊り上げ能力ボックス
各ボックスには、3つの数値が上下に並んでいます。ミリメートル単位の作業半径、キログラム単位の定格吊り上げ能力、同じ能力をポンドで表した値です。SQ10ZA6 では、2,000 mm / 10,000 kg から 14,680 mm / 1,150 kg まで並んでいます。読むのはキログラムの行です。ポンドの行は同じ限界値を丸めたもので、ヤード・ポンド法を使う方向けです。
どの荷重表も、数値としては描かれていない条件を前提にしています。アウトリガーをメーカーの指定どおりに張り出していること、トラックが水平であること、地盤がアウトリガーの荷重を支えられるだけ堅固であることです。現場でこのいずれかが満たされていなければ、荷重表の数値は適用できません。
伸縮ブーム式とナックルブーム式の荷重表の違い
伸縮ブーム式クレーンもナックルブーム式クレーンも、作業半径で読むという点は同じですが、荷重表のレイアウトは異なります。どちらのタイプにするか検討中の方は、まず伸縮ブーム式とナックルブーム式クレーンの比較をご覧ください。
| 荷重表の項目 | 伸縮ブーム(SQ5SA4、SQ20SA5) | ナックルブーム(SQ10ZA6) |
|---|---|---|
| 主表 | 上辺にブーム長さ、左辺にブーム角度 | 水平方向のリーチに沿って並ぶ吊り上げ能力ボックス |
| 各セル・ボックスの内容 | そのブーム長さと角度での作業半径 / 吊り上げ能力 | 各伸長位置での作業半径、kg、lbs |
| 作業範囲図 | ブーム長さごとのフックの軌跡 | 伸長段ごとのフックの軌跡と角度線 |
| 選ぶもの | ブーム長さと角度 | ブームをどこまで伸ばすか |
伸縮ブーム式の荷重表では、ブーム長さと作業半径は別の数値です。SQ20SA5 の 6.8 m ブームを水平にしたときの作業半径は 6.3 m です。ブーム根元のヒンジは旋回中心の上にはなく、作業半径は常に旋回中心から測るためです。見出し行のブーム長さではなく、セル内の作業半径を読んでください。
クレーン荷重表の見方:6つのステップ
吊り上げ作業のたびに、次の6つのステップをこの順番で確認してください。いずれかのステップで条件を満たさない場合は、構成を変えて荷重表を読み直します。
- 荷の総重量を把握する。吊り荷の重量に、フックブロック、スリング、シャックル、スプレッダーバーなどの吊り具の重量を加えます。フックブロックには通常、重量が表示されています。
- 作業半径を測る。旋回中心からフックが吊り下がる位置までの水平距離を、吊り上げ位置と吊り降ろし位置の両方で測ります。大きい方の値を使います。
- ブーム構成を選ぶ。その作業半径に届き、必要な高さで障害物を越えられるブーム長さまたは伸長段と、ブーム角度を決めます。
- 吊り上げ能力を読む。荷重表で該当する作業半径を探します。記載された2つの作業半径の間にある場合は、大きい方の作業半径の値を使います。2つの値を平均してはいけません。
- 余裕を持って比較する。ステップ1の合計が、ステップ4の吊り上げ能力を超えてはいけません。差が小さい場合は、風、荷の振れ、荷重の見積もり誤差を考慮して計画します。
- 条件を確認する。アウトリガーを荷重表の前提どおりに張り出しているか、トラックが水平か、地盤が堅固か、風が取扱説明書の制限内かを確認します。

例1:5トン伸縮ブーム式クレーン(SQ5SA4)
作業内容:トラックの荷台から 1,500 kg のブロックを載せたパレットを吊り上げ、旋回中心から 6.0 m の位置に降ろします。スリングとフックの重量は約 50 kg と見込まれるため、総荷重は 1,550 kg です。以下は5トン 伸縮ブーム式トラック搭載クレーン SQ5SA4の図面にあるブーム表です。

6.8 m ブームを 20° にすると、荷重表の値はちょうど 6.0 m / 1,740 kg です。総荷重 1,550 kg は 1,740 kg を下回るため、この吊り上げは荷重表の範囲内で、190 kg の余裕があります。
では、壁を越えるために 9.4 m ブームを使わなければならない場合はどうでしょうか。このブームを 40° にするとフックは 6.7 m の位置にあり、許容荷重は 1,300 kg にとどまります。同じパレットでも重すぎることになります。長いブームを使うには 50° まで起こす必要があり、そうすると作業半径は 5.5 m に縮まり、吊り上げ能力は 1,580 kg に上がります。ただし、吊り降ろし位置を 5.5 m に移せる場合に限ります。
ここでのポイント:ほぼ同じ作業半径なら、長いブームほど吊れる荷重は小さくなります。クレーンの能力のうち、ブーム自体を支えるために使われる分が増えるためです。届く範囲で最も短いブームを使いましょう。
例2:10トン ナックルブーム式クレーンの荷重表(SQ10ZA6)
作業内容:トラックの近くから 2,000 kg の鉄骨フレームを吊り上げ、旋回中心から 9.0 m の位置に降ろします。吊り降ろし位置の作業半径の方が大きいため、こちらを基準に判断します。フックとスリングの 60 kg を加えると、合計は 2,060 kg です。SQ10ZA6 の荷重表には、8.51 m で 2,280 kg、10.56 m で 1,800 kg と記載されています。9.0 m の値はありません。

9.0 m は 8.51 m より外側なので、10.56 m の値である 1,800 kg を読む必要があります。2,060 kg の荷は重すぎます。2,280 と 1,800 を平均すると約 2,170 kg となり、計算上は問題なく吊れるように見えます。このルールは、まさにその誤りを防ぐためにあります。
対策は、トラックの位置を変えることです。吊り降ろし位置が旋回中心から 8.5 m 以内になるように据え付けられれば、荷重表の値は 2,280 kg となり、吊り上げは荷重表の範囲内に収まります。折り曲げ式のブームでリーチに応じて吊り上げ能力がどう変わるかは、ナックルブーム式クレーンの吊り上げ能力の記事をご覧ください。
例3:20トン伸縮ブーム式クレーン(SQ20SA5)
20トン 伸縮ブーム式トラック搭載クレーン SQ20SA5が 20,000 kg をフルに吊り上げられるのは、6.8 m ブームを 70° に起こし、作業半径が 2.0 m のときだけです。今回の作業内容:4,000 kg の鋼材の束を旋回中心から 12 m の位置まで吊り上げます。玉掛け用具が 80 kg あるため、合計は 4,080 kg です。

12 m ちょうど、またはそれを少し超えて届く構成は2つあります。
| ブーム構成 | 荷重表上の作業半径 | 定格吊り上げ能力 | 荷重 4,080 kg の判定 |
|---|---|---|---|
| 14.8 m ブーム、30° | 12.2 m | 5,640 kg | 荷重表の範囲内 |
| 18.8 m ブーム、40° | 13.5 m | 3,840 kg | 重すぎる |
14.8 m ブームを 30° にすると 12.2 m まで届き、必要な距離をわずかに上回るため、定格 5,640 kg が十分な余裕をもって適用されます。18.8 m ブームで 12 m より先に届かせるには 40° まで倒す必要があり、そのときの許容荷重は 3,840 kg で、合計 4,080 kg に届きません。例1と同じく、短いブームの方が有利です。
なお、20トンクレーンは 22 m でも 1,500 kg を吊り上げられ、これは10トンの SQ10ZA6 が 14.68 m で吊れる荷重を上回ります。トラックから離れた位置で軽い荷を扱う作業が中心なら、機種名のトン数ではなく、実際の作業半径でのリーチと吊り上げ能力を比較してください。その選び方は、トラック搭載クレーンのトン数選定ガイドで詳しく解説しています。
荷重表の読み方でよくある間違い
- トン数をそのまま作業能力とみなす。10トンクレーンが10トンを吊れるのは、作業半径が約 2 m のときだけです。
- 玉掛け用具を計算に入れない。フックブロック、スリング、シャックル、スプレッダーバーの重量は、荷重表に別の記載がない限り荷重として扱われます。
- 作業半径を誤った位置から測る。ブーム先端、トラックの側面、アウトリガーからではなく、旋回中心から測ります。
- 記載値の間を推測で読む。作業半径が記載されていない場合は、荷重表で次に大きい作業半径の値を使います。
- 条件の異なる荷重表を使う。アウトリガーを最大に張り出した状態の荷重表は、アウトリガーの1本でも張り出しが足りない場合や、軟弱な地盤に設置している場合には適用できません。
- 別機種の荷重表を使う。船舶用仕様やフライジブ付きクレーンなど、同じトン数の派生機種にもそれぞれ専用の荷重表があります。図面に記載された型番を確認してください。
架装も重要です。荷重表は、クレーンを支えられるシャーシとサブフレームに取り付けられていることを前提としています。トラックに求められる条件は、トラック搭載クレーンの架装ガイドで解説しています。
作業に合った荷重表の選び方
クレーンを選ぶ際は、トン数からではなく、日常的に行う最も重い吊り上げ作業とその作業半径から検討を始めてください。荷の重量、作業半径、揚程、トラックのシャーシ型式の4つの数値をお知らせください。当社のエンジニアが伸縮ブーム式トラック搭載クレーンとナックルブーム式トラック搭載クレーンの荷重表と照合し、条件に合う荷重表をお送りします。ご連絡はお問い合わせページからどうぞ。
BOB-LIFT の各製品ページには、その機種の寸法図と荷重表を掲載しています。
よくあるご質問
荷重表の値にはフックやスリングの重量が含まれていますか?
荷重表またはその注記に差し引き済みと明記されていない限り、フックブロック、スリング、その他の吊り具は荷重の一部として扱ってください。不明な場合は、吊り上げ作業の前に、荷重表の注記をメーカーに確認してください。
荷重表の2つの作業半径の間を補間してもよいですか?
メーカーの指示で認められていない限り、補間はできません。記載されている次に大きい作業半径の吊り上げ能力を使います。SQ10ZA6 で 9.0 m の吊り上げを行う場合、定格は 10.56 m の値である 1,800 kg となり、1,800 kg と 2,280 kg の間の値にはなりません。
10トンクレーンが最大リーチで 1,150 kg しか吊れないのはなぜですか?
10トンという能力は、作業半径 2.0 m での値です。14.68 m では荷が7倍以上も外側にあるため、転倒モーメントがはるかに大きくなります。さらにクレーンは、最大まで伸ばしたブーム自体も支えなければなりません。
荷重表はどこに保管すべきですか?
クレーンに備え付け、オペレーターが見られる場所に保管します。米国では、OSHA 規則 29 CFR 1926.1417(c) により、定格荷重(荷重表)をオペレーターがすぐに確認できるよう運転室内に備えることが義務付けられています。また 29 CFR 1926.1433(d) は、2010年11月8日より後に製造された機器について、その情報に含めるべき事項を定めています。アーティキュレーティングブームクレーン(ナックルブーム式クレーン)は、任意規格である ASME B30.22 の対象でもあります。作業を行う地域の規則を確認してください。本ガイドは荷重表の読み方を説明するものです。実際の吊り上げ作業はすべて、お使いのクレーンに付属する荷重表を用いて、十分な知識と経験を持つ有資格者が計画しなければなりません。
荷重表の kg を lbs に換算するには?
キログラムの値に 2.2046 を掛けます。当社の荷重表には、キログラムの下にポンドの行がすでに記載されています。たとえば SQ10ZA6 では 10,000 kg / 22,000 lbs です。ポンドの値は丸められているため、限界に近い吊り上げではキログラムの値を使ってください。
クレーン荷重表チェックリスト
- 機種名ではなく、実際の作業半径で吊り上げ能力を読む。
- ブーム先端より下にあるものは、玉掛け用具も含めてすべて荷重として数える。
- 荷重表では次に大きい作業半径の値を使い、届く範囲で最も短いブームを選ぶ。
- 荷重表は、その前提となる条件のもとでのみ使う。
全機種の荷重表は、トラック搭載クレーン製品一覧をはじめとする当社の製品ページに掲載しています。限界に近い吊り上げを計画している場合は、数値をお送りいただければ、一緒に荷重表を確認します。
